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01.Pete Rock 「Made Man」
2008年にリリースされたPete Rockのアルバム、「NY's Finest」の中でも、ビートもラップも、渋さがあり好きです。
タイトルもかっこいい。トラックメーカーのPete Rockが『At The End Of The Day I Always Be A Made Man』と
復唱しているラインが頭に残り、よく外にいる時やクラブでラッパーと合う時には心の中で口ずさんでしまいます。
Pete Rockの語り口に押しつけ感が全くない所も、魅力的だと思います。 |
02.Papoose「Hustle Hard」
とにもかくにも、ラップの内容が男らしすぎる。内容はドラッグディールネタだと思いますが、『俺のスタイルなら、こうだね』と厳しさを孕んでスピットするPapooseのリリックはとてもスリリングです。彼のラップのスタイルは王道といえるスタイルだと思います。内容が1小節、もしくは2小節で、どの曲も、『話が紙芝居の様に入れ替わっていく』スタイルです。ビギーと同じフッド出身で知られる彼は昔流行った、という印象を持つビーボーイもいるとは思いますが、この様なラップを展開出来るラッパーが出てくれば今のUSのHIPHOPシーンはもっと面白くなると思います。そんな願いをこめて、一昔前の曲ですが、ラインナップさせて頂きます。 |
03.Nas「Rewind」
2001年のNasのアルバム、「Stillmatic」の6曲目。リリックの構成が面白い曲なんです。何が面白いのかというと、一人の男を物語の主人公となったNASが暗殺します。その男が暗殺されるまでのあらすじを、撃った銃弾が男の体にめり込む寸前から、Nasが暗殺を共に企てた男と電話で会話を交わし計画を実行しはじめる所まで、全ての『事のいきさつ』を逆さまにラップしていく、というとても手の込んだ歌詞の構成になっています。物語を逆さに話すといういたってシンプルな曲ですが、何度も聞きたくなる様な中毒性を持つ無機質なビートと相まって独特な雰囲気を持つ、佳曲、ではないでしょうか。「Stillmatic」は廃盤となっていて、彼のアルバムの中でも新品でゲットしにくいアルバムとして有名ですが、その中の一曲、というそんな隠れ名曲感のあるこのチューンが入ってる点も、「Stillmatic」を聴いてしまう所以です。ジャケットも堂々としていて好きです。 |
04.DJ Babu Feat MF DOOM & Sean Price「The Unexpected」
ヒップホップ感と言っても本当に色々、様々あると思いますが、これがクラブでかかると俺はぶちあがってしまいます!
キックドラムを置く位置、サンプリングされた上ネタの切り方。またそれを鳴らすタイミングが、いかにもBeat Junkies(DJ BABUを擁するトラックメイカー、DJのクルー)らしいと思います。DJは違う曲と違う曲をつなぎますが、『DJ感覚で作るHIPHOPトラック』という観点を非常に巧く、消化したこのトラックは『技巧派ヒップホップ』と言えるのではないでしょうか。ドラムとサンプルの噛み合い方がなんとも言えないのです。サッカーで言うなら、相手のパスをカットし、チャンスにつながるパスを前線に回せるボランチ、と言ったらいいのでしょうか。MF DOOM、Sean Priceも渋い声でリリカルなラップを響かせてくれています。リリカルさ、と表現される、一聴すると難解な、それこそ聞き流してしまう様なラッパーのリリックの濃さ、というのは、livemixtape.comなどでヒップホップといっしょくたに紹介される、"トラップ"には全くない物であり、このリリックの濃さこそが、ヒップホップだと思います。『聞き流せる』というのはそれほど完成された文章であるからですし、それは彼らにとってはある種の皮肉で、裏を返せばプライドと言えるのです。歩く街の中で流れる物であり聞かれるべき物、そんなものがヒップホップにおいて一番大切だと思うんです。Ayo,DJ Drop This Hot Stuff!!!! |
05.Memphis Bleek「All About Me」
スピットと言うとつばを吐く、という言葉に直訳される訳ですが、このラップはスピットと言えるでしょう。
ちょっと、『心の叫び』チックな所もあるのかな。それはおいておいても、このスピットが、アツいです。
2005年にリリースされたMemphis Bleek(Roc-A-Fella Records)の2nd ALBUM、「534」からの1曲。
タイトル通り、リリックの内容は全編において、彼のポリシー、不屈の精神性、といってはToo Muchかもしれませんが、
『何に置いても必要な謙虚さと客観する視線を忘れては行けない』と言われている気がします。そんな内容が好きです。
俺らなんて今吸っている葉巻の灰みたいなもんなんだ、その気持ちを忘れちゃあおしまいだぞ!!、というアツいMemphis Bleekのメンタル。普段の仕事や自分の義務だけを果たし、何か面白くないなと思っているリスナーがいたとしたら、皆の日常にも当てはまる事だと思います。何かに屈服した人間の言葉というのは時に自分の気持ちを勇気づけてくれる物です。 |
06.Statik Selektah Feat Consequence「Mr. Popularity」
さっきのMemphis Bleekとはうって変わり、クールなフロウを聞かせるのはConSequence。ビートがいい。 |
07.Curren$y「Burn An Ounce」
パーカッシヴなトラックとCurren$yのかすれ気味な声がマッチしたナイスなトラックです。
リリックの内容も、1オンスのマリファナを一気に一回で吸っちまうくらいヤバイビートだぜ、っていう具合に、
ビートにもたれかかる様にラップするCurren$yの姿が目に浮かんでくる様な、そんな暢気な、でもどこか胸に刺さるアップリフテッドな曲です。 |
08.Alicia Keys Feat Raekwon「You Don't Know My Name (Remix)」
裏クラシック。この時期の夜の街の景色に合う、そんな曲です。 |
09.Jae Millz「Cold Nights」
NYはHARLEM出身のラッパーJae Millzが去年発表した「Property Of Potentness 2」より!!
Vadoらとの競演やAmerica's Most Hatedなる、ハーレムのラッパー集団(同名のコンピレーションもDatpiff等に公開されています。)の一員として、広くはMaybach Music Groupのラッパーとして知られるJae Millz。トラックは、2012年にNYで起こったCoke Boysムーヴメントの陰の立役者、Harry Fraud。NYのスピッター好きの心をくすぐる、NY玄人シットと呼べると思います。
Harry Fraudのビートはしびれる。Jae Millzは自身のクルー、PO10NT Dept.のリーダーも担っていて、ビート選びのセンスはDatpiffやLivemixtape.com等で聞く事の出来るNYのラッパー達とは一線を画す物があると思います。 |
10.RetcH「Graceful Jewely Removal」
今年に入り発表されたMIXTAPE『Polo Sporting Goods』の1曲目、RetcHなるラッパー。
マイクに怒りをぶつける様なラップのスタイルは、若々しく、リリックの内容もちょっと失望感が強いですが、
面白いと言えると思います。 |
11.Raekwon「Young Boy Penaltie」
「Amerikaz Nightmare」のalbumから。Red Spyda好きっす。 |
12.Marco Polo Feat Buckshot「Go Around」
2012年に発表された、Raekwon「Lost Jewelry」より。自分はこの曲を、NY HIPHOPのベテランであるWu-Tang ClanのRaekwonが同郷のNYであり大所帯のクルーであるという点ではそのスタイルを踏んでいる、A$AP Mobにあてた曲だと思えてならないのですが、皆様はどうお考えでしょうか??? ProduceはScram Jones。タイトなスネアに、ヒップホップを感じます。 |
13.9th Wonder「Saved」
さぁ、佳境に近づいてきました。この曲にフィーチャーされているのはSaigon、Joe Scudda。
SaigonはJust Blazeによる全面バックアップの元、スタジオアルバム『Greatest Story Never Told』を発表した
ブルックリンのGutta、Brownsville出身。Joe ScuddaはStatik Selektah率いるShow Off Recordのラッパーです。
そんな、心温まるNYシット、トラックは9th Wonder。(9th Wonderのアルバム、「The Dream Merchant vol.2」に収録) |
14.Torae「Do The Math」
このトラック、もう何も言う事はないって位しびれます。ヒップホップです。プロデュースはLarge Professor。
そしてToraeのラップも、一進一退の攻防、言わばTorae自身の心の葛藤を聞いてる様な気持ちにさせられます。
また、"Who Gon Do The Math?"というタイトル通りのラインで最後を締めくくるラップであったり、
その言葉に込められた意味というのは決して素通りされるべき意味では無い様に感じられます。
"Do The Math"とは、物事を熟考した上で自分をもって何かに取り組むという意味に他なりません。 |
15.Boldy James Feat Poppy Bricks「Break It Down」
最後はこの爽やかなトラックにグライミーなメッセージが乗った、この曲で締めさせて頂こうと思います。
Boldy Jamesは、J Dilla(R.I.P)の過去の作品に客演していた事で知られるデトロイトのラッパーで、
この曲はmixtape「Jammin :30 in the morning」に収録。駆け抜ける様なハイハットが特長のトラックに、
『I WANT NOBODY ELSE TO HEAR THE SOUND』というなんとも不敵なメッセージのこもった、爽快なチューンです。
あなたのストレスを吹き飛ばす様なサウンド、体感して下さい。
Its F.E.B.B I'm Out Yall Thanks For Listen My Classic Series. Fresh Off!!! |